新・日本スキー教程が、全て理解出来た方へ

「脱・筋力主義。スポーツ上達のコツ」(著者市野聖治他三名)を借りて読みました。
興味をもった題目は「重力を活用する脱力系の身体運動」「重力軸、運動軸」「体幹部主導」「不安定の利用、膝の抜き」です。重力を味方にすればパフォーマンスはもっと上がるとも書いてありました。
著者はよく勉強していると感じましたが、実際にこれらの動きをスキーに使うとしたら、はたしてこの本に書かれているような動きになるのか疑問に思いました。

日本スキー教程も借りて読みました。私が気になったところは、「末端部と体幹部を分けて考える身体運動」と「不安定と安定の考え方」です。上記の本も含め、体幹内操作や不安定の使いこなし等、私たちが古武術や日本韓氏意拳学会で学んできたことと大分違っているように思いました。

また、著者が参考にしている文献も殆ど読んでいるのですが、これも私との理解の仕方が違うように感じ、スキーでの身体の使い方が私とはまったく違います。
どう違うかはいずれ書こうと思いますが、今回は体幹部の事に少し触れてみましょう。
いずれにしても上記の本の内容が理解できないと、違いが解らないので混乱されるかもしれません。読み流して下さい。

実際の運動(滑り)では、スキー教程のように「体幹主導・末端主導」というように分けて運動するようなことはしません。
最近多くの方が、体幹部の動きが重要だと言うようになってくれました。しかし末端部と分けて運動しては何にもなりません。
体幹部から手足の末端部へとエネルギーが滞りなく通うようにしなくては意味がないと思います。体幹部の操作と末端部の操作が連携するようにトレーニングする必要があると思います。
特に脚足の操作は、体幹部の翻りと連携して操作しないと、脚の付け根の「コマネチライン」というか逆ハの字ラインを使うことが出来なくなると思います。ここが使えないということは、表面の筋肉しか使えないのと同じではないでしょうか。

運動で大事なのは、身体の中にどういう力が働き、外に対してはどういう働きかけをしているかなのです。
理解できるようになるまでには多少時間がかかるかも知れませんが、しかしやれば体幹内に発生するエネルギーを、末端部の足先と手先で自在に使うことが出来るようになります。

私は、完全な運動とは末端から動くのだと思っています。体幹部との連携が理解できるようになると、末端から動くという事がどういうことか解ってきます。詳しいことは何時か書くつもりですが、「重力や遠心力・体の重さ」というような事は、教程に書いてあることと変わってきます。

どうでしょう、スキーに翼が生えているかのように重力を感じることなく滑りませんか。<続く>(2009年12月28日 サダハル)