リズムを考えよう

簡単に言えば強弱のことだが、これがまた奥が深い。

リズムは音楽だけではなく、人間が行う運動にもいえることです。この運動リズムは具体的な形としてとらえることはできないが、しかし、自分の運動リズムを知り、意識することはできます。

私たちはそれぞれが自分のリズムをもっており、様々な運動には、その運動過程において動き独自のリズムがあります。そのリズムに、運動を行う私たち個人のリズムを合わせ調和させることが大事です。これは流れるような動きでなくてはなりません。

 スキーの運動にも同じことがいえます。「谷回り」を意識して滑ることにより、「山回り」意識よりも滑らかな運動が可能になります。ターン中に山回りはあるのですが、「谷まわりから谷まわり」という感じで滑ります。これは、ターンとターンのつなぎめで、身体の動きに遊びを作らないようにするためです。つなぎが分からないような、境目とか切れ目のない動きが大事です。リズムは説明しにくいものですが、これを知覚することが自然で効果的な運動を可能にすると思います。

また、スキーに圧力を加えるときには、自分から意識的に圧力を加えようとするのはよくありません。ターンなどによって圧力を変化させる、そんな気持ちで滑ると流れるような動きになるでしょう。ところが、流れるような動きに対して「リズムがない」と判断する人がいます。

「山まわり」を意識すると動きがはっきり見えて、メリハリのある動きになるので、これを「リズムがある」と判断する人が多いようです。資格試験用の滑りやバッヂテスト用の滑りに多く使われているのでお分かりでしょう。それはそれで良いのでしょうが、私は質の高い動きだとは思いません。

姿勢のことも少し触れておきましょう。構えはどっしりとした感じにしますが、滑らかな動きにする為に羽毛のように軽く、フワッと動けるような気持ちで立ちます。矛盾しているようですが、身体を安定させようとは思わないで、サルの立ち姿を真似てください。背中を少し丸め、尻を突き出さないでスッと立ちます。サルがスキーをはいている姿をイメージしてください。

それから、動きを発展させるために、酔っ払いの動作も参考にしました。特に横への動きは大変勉強になり応用しています。
インドの友達が私のすべりを、「ジャッキーチェーン、スタイル」と呼んでいます。サルや酔っぱらいと言われるよりいいので笑っていたら、どうも彼の「酔拳」のイメージがそう言わせているようでした。彼と私が似ているわけが無いですよね。でも、私はお酒は大好きですが。(2006年7月1日 サダハル)