「基礎的理論」

基本の動き(滑り)について考えてみました。
誰にでも出来そうに思える動き、一番当たり前中の当たり前の動きで、スキーを操作するということだと思います。

「独創的な滑り」とか「新しい技術」ということを考えだすのではなく、徹底的に普通の滑りとは何なのかを、探りだすことにしましょう。普通に動くということは、余分な動きをなくすということだと思います。むだのない動きは動作が美しく、そして早く、より自由に動けるはずです。しかし、思うようにいかないかもしれません。頭では分かっているのに動けないとか、当然知っていることなのに身体が動いてくれないとか。その事の本質が分からないからなのか、動きに勢いがないからなのか、はっきりした事はわかりませんが、出来なければ何の意味もないですよね。


「目からウロコ」経験したことありませんか。思考と身体の感覚がピタリ一致して、以前と違った自分を感じたことが・・・

それは一寸した閃きから生まれます。ほとんどが些細なことから、頭の中にあったことがさらにクリアになり、その事の基礎的なことが分かったときなのだと思います。簡単に言えば、普通の動きに気づいたときではないでしょうか。力や筋肉に頼るのではなく、感覚だけを研ぎ澄ました結果現れるものだと思います。
では次に記すようなことを、ほとんど考えずにただやってみてください。スキーを履いてやればどうなるか、なんて考えないことです。その時点で身体に力が入り、身構えてしまいますから。「たぶんスキーにも良いのだろうな」位に思ってやってください。

 身体の動きを大ざっぱに分けると、上下の動き、左右の動き、前後の動きと三つになります。身体を回すとか捻るという動きもありますが、筋肉に負荷がかかるので省きます。斜面を滑りながらこれらの動きをして、簡単に回転にむすびつくのは左右の動きです。この左右に傾けるだけの動きで連続ターンをするスキーロボットを私は見たことがあります。思考力のない模型が、ただ左右に傾くだけで小回りをしたのです。

人間は滑らかに、身体を左右に動かすことが出来るのでやってみましょう。暖炉の炎が揺らめくように、温泉の湯気がゆらゆら立ち登るように、動きの流れが途切れることなく移り変わるように。身体を左右に揺すってみましょう。ゆっくりと、それから早く軽やかに。大地を踏みしめているのですが、足裏も動くようにします。脚部だけを左右に動かすのではなく、全身が動くようにします。最初は腰を右に移動する時は右肩を、左に移動するときは左肩を少し上げるようにするとスムーズに出来ます。右にいくとみせて左に行くような動きもできるようになると楽しいですね。
今はいいリラックスの運動になりますが、雪の上では・・・。楽しみにしていて下さい。

 スキーの神様は言う「基本はいつだって変わらない。みんな、テクニックそのものが変わったように言うけれど、実は、応用の仕方が変わっただけなんだ」