75回リーゼンスラローム大会

私の、60代最後の大会です。多くの思い出を作ってくれた「山楽荘レーシング」の皆さんにお礼申し上げます。
毎回、ほんとうに多くの方に参加していただき感謝しております。なんか最終回の挨拶みたいですが、まだまだ出場するつもりでいます。

私たちが、毎日のように飛ばしているリーゼンスラロームコース。このコースの生みの親でもある福岡孝行さんのことを、少しだけ書きたいと思います。
疎開先だったこの地で、八方尾根を眺めながら「ヨーロッパのスキー場に匹敵するくらいのコースが出来る」と感じた福岡さんは、
地主の爺様たちを説得し、
自らも山の木を伐りスキーコースを開き、また、並行して大会の準備もしていました。大変なご苦労をされた事と想像します。

八方尾根スキースクールの、名誉校長にもなられておりますが、ひとつ興味深い出来事をお話ししましょう。
ずいぶん前のことですが、スキー技術の指導方法として「オーストリアスキー技術とフランススキー技術」のどちらを行うか、悩んだ時期がありました。八方尾根スキースクールは、福岡さんの意見もありオーストリアスキー技術に決めたのです。バインシュピール技術と、外向・外傾姿勢が基本でした。
また、フランスのスキー技術は、回転方向に身体を捻って(ローテーション・振り込んで)スキーを回す動きで、少し前のSAJの滑りと同じでした。スキースクールのOB(スキー同好会のメンバー)は、この「内足に乗り身体を回すスキー」を見て唖然としたものです。
福岡孝行さんは、日本人の奥底にある身体の使い方を、知っていたのかもしれません。「身体を捻らない・蹴らない・踏まない」動きは「ナンバ」その物でした。

実は、私のスキー技術の根底に流れているものは、スキー学校時代に習った福岡さんのスキーメソッドなのです。これは、オーストリアスキーの技術を基本にして、それをアレンジした型・動きのように感じます。
そして私は、この形この動きを、発展してきた今の用具に合わせた技術に、適応させているだけです。
スキーの技術は、今も昔も変わっていません。応用の仕方が、変わっただけなのです。


リーゼンスラローム大会では、武術で学んできた身体の使い方を加え、全身を使ったターンを実践しています。75回大会では、動けると思います。速いスピードに対して、恐怖感が出なければいいのですが、「年には勝てないなー」と言いたくないですねー。(2021年3月3日 サダハル)