不安定の中の安定

前回の続きになりますが、次の様な練習はいかがでしょうか。大回り・中まわりの動きが主です。

回転外側の脚は、伸ばして耐える要領でスキーを押します。これを、次の回転に入るところから、行える様になりましょう。

伸ばしで耐えるというのは、例えると車を押すときに、肘を伸ばし気味で押すという感じと似ています。曲げで押すのとは違います。回転が終わるまで、脚はそのまま耐えることが必要です。また上体は、回転後半になるにつれて低く(かぶせる様に)します。

腰から上は縮むが谷脚は伸びるという、逆の動きになります。

脚を少しでも伸ばそうとすると、体が山側に倒れやすくなるので、頭から腰までが、「鉛直」でいることが大事です。

谷脚の伸ばしで耐える踏み方ができると、体が回るという事がなくなります。なので、特に腰は意識して正対にしましょう。そして次の回転に入ろうとする時は、折りたたまれている山側の脚を伸ばしながら角付けをし、谷回りに入ります。

この様に脚部は、交互に運動させます。回転外側の脚部は伸び、内側は折りたたまれ内膝は胸の近くにきています。

また、重心(腰)は、内スキーの上に来ています。鉛直が保たれていると、内スキーに全体重が乗ったとしても転倒しません。

以上、どちらかと言うと競技的な滑りですが、更に競技者は、スキーより一瞬早く体を谷側に移動させています。体が移動するので、スキーが体の真横にある状態で操作できるのです。これが出来ないと、体より少し前で操作することになります。

40代になったら、意識して身体を動かさないと、スキーだけを動かす滑りになってしまい、体が遅れることになります。それに若い競技者は、「外傾姿勢」・くの字を作ったまま立ち上がる(特に大回転)ので、真上に立つ意識でも、体が谷側に落ちてくれます。

これらの事から、スキーが真下を向く前から、次のターンの角付けを始めることが出来るのです。結果的に、谷回りの時間が長くなっている様な気がします。

これら身体の運動のすべては、同時並列的に行われています。また、競技スキーヤーは、自ら体を動かすので不安定な状態が作られます。しかし、その状態がエネルギーを生み出すので、早い時期からの谷回りでも、スキーを強く踏みつける必要がないのです。
ターンを導くのは、角付けの強弱であって、加重の大小ではありません。

さて不安定ですが、私たちも両足で立っている時は安定していますが、歩き出せば不安定になり、走ればもっと不安定になっているのです。

しかし、いずれも不安定だという感覚は、私たちにはないはずです。

同様に、スキーの場合も競技者は、不安定だと思っていません。身体を動かすことにより不安定が生まれ、多くの力がスキーに伝わっているはずです。(2021年2月16日 サダハル)