目指すところは「自ずから然り」

今回は、動きを「身につける」、身につくと云うことがどういうことかを考えてみました。
型や動きが身につくということを簡単に言うと、それが「ひとりでに(自然に)」出来るようになったと言うことです。実際には、このようになるまで相当な時間がかかると思います。
幾つもの動きの型を覚え、それを反復練習することによって、動きが身につくのだと思います。動きが身につくと云うことは、無意識にいろんな動作ができるまでになったということです。ひとりでに動けるようになると、そこにはもう決まった型の意識などなく、無意識に直観的に対応できる身体が出来上がっていると思います。

ところが考えすぎて型に終始するようになると、動きがパターン化し同じことをくり返すようになってしまいます。
注意深く細部にまで神経を行き渡らせ、全体を感じとりその本質を見抜くことが大事です。方法としては、私は次のようにしている感覚です。

スキー技術で動きの技を学ぼうとするとき、身体全体の動きを理解するには、だいぶ時間がかかるのではないでしょうか。そこで動きを各部位ごとに解体して、「腰の動きはこう、膝の動きはこうする」と言うように分けて学ぶと思います。全体を理解する為に、各部位ごとに分けて動きを習熟し、それから再び全体を把握する。という方法が多いと思います。ところが、各部位の動きが分かったからといって、全体が分かるというものではありません。
気をつけて欲しいのですが、各部位の動きが組み合わさると、どの部分にもなかった「新たな要素」が生まれたりすることがあるからです。本質を見抜く能力の一部が、これに気づくことだと思っています。直観で全体を感じ取れるようになって下さい。

「身につける」には、まず「知る」ということ、それから「わかる」ということが大事です。
まずは、如何なることも「知らなかった」と言わず、なんでも知ろうとして下さい。知るということは、読んで知る・話を聞いて知るだけではなく、理解し行動を起こすということが大事です。自主的に考え、能動的に行動することが大切だと考えています。

頭で受けとめ頭で理解するだけでなく、身体で実践できなければ意味がありません。知識が多いだけでは無意味で、知って「行ってこそ」本当の知恵だと思っています。
「知った」ことを、それまでの経験なども付け加えながら、自分のなかで自分の言葉として置き換え「わかる」に変換させなければ駄目です。知ったことを他人に伝えることが出来るようになると、自分でも「わかった」という事になると思います。
異分野交流を多くすると、専門分野のことを客観的な視点で捉えることが早く上手く出来るようになります。このように「わかる」、ということも至難の業だと思いますが頑張って下さい。
これらは自然な動き・自分本来の動きを知るためにも大変重要なことなのです。これらが解ると、感覚とか直感ということが理解できるようになるでしょう。

と言うことで、次回は感覚です。(2018年9月30日 サダハル)