生まれ変わる<自然な動き>

父親と仕事をしていて、運動量の違いに「おや!」と思ったことが有りました。私が40才近くで、父は70才頃だったと思います。

父はゆっくりとした一定のペースで、休まず働き続けるのですが、私は10分位で休まないと続きませんでした。農作業での荷物を運ぶ量や、冬はスコップで屋根雪おろし等をした量が、私よりはるかに多いのです。
荷を担ぎ上げるとき、「よっ!」とか「ほっ!」といった軽い掛け声で、「ひょいっと」担ぎ運んでいきます。

動きや身体の使い方の勉強を始めた頃だったのですが、まさか父親が私より効率の良い動き方をしているとは思ってもいませんでした。まあ、「コツ」はあるのだろうな、と普通に考えていました。

その頃から考えていたことは、仕事をするのにわざわざ苦労して動くことはない、楽な動き方があるはずだ。そして、長時間働いても疲れにくい動き方をする。
それと、ケガをしにくい動き方なら更に良い。ということです。

気に掛けていると、当時でも情報は入ってきました。なかでも甲野先生の講習会が衝撃的でした。
普通の動きは、足場を固め踏ん張り、体をひねってタメをつくり、そこからうねって力を伝えていくのが常識でした。それが「踏ん張らず・ひねらず・タメをつくらず」動くという講習会でした。「後ろ足で蹴らないで歩いて下さい」と言われ、「え!歩けない・動けない」ということを知りました。それから何回も講習会にいくことになったのです。そして60歳になった頃、あの時の父親より遥かに動けるように(多分)なりました。

またある時、「眠っている自分本来の動きを呼び起こす」。講師にこう言われ、全身に感覚が通るような練習もしました。
「あまり使わない部位の感覚はにぶいものです」というか、私は使っていない事すら気づいていませんでした。本来は自由に動くような部位が、日常生活であまり使われていないために動かなくなっていたのでしょう。だからそこに、感覚が通らないのでした。

全身を自分の思いどおりに、自由に使いこなすことが大事です。(勉強をして練習して下さい)知らないと、どんどん感覚を鈍らせる方向に進んでいってしまいます。
できる様になれば解りますが、身体のどこか一か所だけを動かして仕事をするのではなく、全身が動いてくれるので疲れません。例えば、腕だけ使って持ち上げていた物を、全身がその物の重さを分散して持ち上げる感じになるので軽く感じます。

「ナンバ的な動き」というのは、「踏ん張らず・捻らず・タメをつくらず」動くということです(これが全てではありませんが)。体の何処も蹴らないで、反動を利用しないで動くことが大事です。
ところがナンバを形だけで捉えると、「右手右足、左手左足が同時に前に出る」というような歩き方の動作を、ナンバだと見てしまいがちです。

形だけを真似て歩くと、歩きづらい筈で、こんな能率の悪い歩き方を昔の人がやっていたとは思いません。なのに、この動作方法をスキー技術に取り入れて、ナンバ的スキー操作だとしてしまいました。でんでん太鼓のように「くるくる回って」滑っていたのがそうです。間違えたのは、「この動きをするのがナンバだ」という考え方です。
ナンバ動作の「右手右足・・・」の、右手のところは右半身(右腰・右肩)のほうが、理解しやすいと思います。「右半身右足、左半身左足が同時に前に出る」動作だということです。

どうかよく考えて下さい。不自然な姿勢から自然な動きは出来ないと思います。不正確な動きは、怪我を呼びますから気をつけた方が良いと思います。

姿勢は「作る」ものではありません。姿勢や形は「作られる」ものなのです。勢いで姿勢ができる、と思っても良いでしょう。(2018年6月9日 サダハル)