変わってないね

30年前に出版した「スキー入門ハンドブック」というのが有りまして、この本の中の私が担当した部分を読み返してみました。スキー技術の考え方・捉え方の根底を流れているものは、今と同じで変わっていませんでした。

あれから30年。色々とありましたが、スキー関係者以外の多くの方との出会いによって、勝敗とは違った、生き続けるためにはどうしたら良いのか、という事を学ぶようになりました。「生きているための動き」とでも言うのでしょうか。

お蔭様で、スキーでの動きの質は大分かわってきた様に思います。

3年くらい前から、「あなたはいったい、どのように滑っているのですか?」と、頻りに聞いてくる人がいるので、自分の滑りに注目してみました。

自分の身体を、借り物のように眺め、全身の筋肉の細部にまで目を向けて問いかけ続けました。スキーで滑りながら、自分の身体を観察し操作することを繰り返しました。

スキーを始めた子供のころから、「無意識や自動」で行っていた「事や動き」を探ることは、非常に難しいことでした。

指導員の資格を有している彼ら(質問者)と共に滑ることにより、「感覚・スキー操作・身体の使い方等」の違いを探しました。また、私自身の動きを説明しても、「そうはみえない」と言われることもあったので、自分の滑りをDVDで何回も見て、原因を見つける努力もしました。

今年になってようやく、自分自身の滑りの感覚を言葉にして説明できるようになって来ました。そうすると不思議なことに、聞いている相手のスキー操作が「どんどん変わる」のです。

しかし、すぐ元に戻ってしまうのですが、何回か一緒に滑っているとそれなりに安定した動きになってきます。教わった方は、それらを自分の言葉で誰かに伝えると、完璧に自分のものになるようです。

彼らも私も、次の雪のシーズンを楽しみにしています。(2015年6月21日 サダハル)