個となる

私たちは、何故変わることが出来ないのでしょうか。ここに勝間和代さんの、2011.1/09朝日新聞のコラムを紹介します。

心の慣性の法則

ニュートン力学で、私たちは「慣性の法則」を習いました。すなわち、何らかの形で力が働かない限り、静止しているものはそのまま静止しているし、ある速度で動いているものはそのままの速度で動き続ける、という法則です。

実は、私たちの行動や意思決定においても、慣性の法則が働いています。このことは、行動心理学や行動経済学では「現状維持バイアス」と呼んでいます。私たちが、未知なものや未体験のものはなるべく受け入れようとせず、現状のままであろうとする心理を指しています。

何か新しいことに乗り換えようとしても、私たちはわざわざ、変えたくない理由を様々な角度から見つけようとします。変化を阻むものは「スイッチングコスト」と総称されます。その根っこには、現状を維持したいという心があり、裏側には「過去の自分の肯定」と「将来の損失回避」が組み合わされた複雑な心理が隠れています。

行動を変えることは、過去の自分の行動を否定することになるため、そこに大きな葛藤が生じます。そのため、過去の自分を肯定したくなるのです。したがって、過去に強固な成功体験がある人ほど、変えることにパワーが必要になります。また、変化には不確実性が伴いますから、何らかの形で損失が生じる可能性をはらんでいます。現状を維持した場合の損失はおおむね想定できるものの、変化した場合の損失は未知数なので、私たちは変化を回避しようと思う傾向を強めるのです。

物理学の法則が、人間の行動に適応されるほど単純ではないと思いますが、実に興味深い考えですね。

ずーっと昔から、そして今も慣れ親しんだ、なんとなくの馴れ合いで行ってきた基礎スキー界の中でのスキー。これを殆どの有資格者は、上層部から言われたことだけを行う、兵隊のような存在になっていました。

同じような人間が大勢いる中に一緒に居ることで、安心していたのだと思います。疑問を持った人も居たでしょうが、他人と違うことを恐れ、皆と同じであることを、知らず知らずのうちに、選んでいたのでしょう。

個性というものがなく皆同じ指導をし、同じ滑りをしていました。「個」よりも「組織」を大事にし、皆と同じであることを選んだのです。それでも教程が変わるという事で、2014年の冬は期待していたのですが、「上意下達」はそのままで、大筋の変化は有りませんでした。自分の考えがないのか捨てているのか、いまだに個性がなく皆同じ方向を見ているのが気になります。

そろそろスキー界も、自分と他人との違いをはっきりさせても良い時代になってきたと思います。そうでないと物事は、それぞれをそれぞれとして成り立たせることが出来ないと思います。そこで始めて、個性が生まれる可能性が見えてくるのではないでしょうか。だからと言って「変えなくてはいけない」とか「新しいことだけが良いこと」だとは思いません。創造し、共に生きていける状態に辿り着いて欲しいものです。

一昔前は私もこの世界にいたのですが、あることをきっかけに、基礎スキー界から足を洗いました。おかげで、違った世界からスキーを考えることが出来ました。また多くの方との出会いから学び、そこで身についたことをスキーに応用してきました。

そして今年から、シンプルなスキーを伝えようとし始めました。この続きは次回で。(2014年5月21日 サダハル)